映画、万引き家族を見てきました。
見終わってすぐ、これは感想を言うのが難しい映画だなと思いました。映画を見た後は夫も私もストーリーのことには言及せず、役者さんの演技についてばかり話していました。
勧善懲悪モノではないし、派手なアクションシーンや観客をハラハラさせるような怖いシーンもない。映画にきちんとした起承転結や見せ場を求める方には退屈に映る作品かもしれません。私は惹きつけられ、考えさせられる作品だと思いました。
以下、あらすじと感想です。致命的なネタバレをしないようにしているつもりですが、作品に先入観を持ちたくない方は続きを読まれない方がよいかもしれません。
この作品はタイトルどおり、万引きをしながら暮らしている家族のことを描いています。おばあちゃん(樹木希林さん)の年金をアテにしている家族が、年金だけでは足りない部分を万引きで補って暮らしています。
寒い季節。お父さん(リリーフランキーさん)と少年(城桧吏くん)が買い物の帰り道で、アパートから締め出されていた幼女(佐々木みゆちゃん)を見つけます。
寒い中、アパートの外で凍える幼女。幼女の親が近くにいる気配もなく、見かねたお父さんは彼女を自宅に連れて帰ります。
家にはおばあちゃん(樹木希林さん)、お母さん(安藤サクラさん)、お母さんの妹(松岡茉優さん)がいて、家の中はゴミ屋敷寸前。モノが雑多にあふれていて生活感丸出しです。食べるものはジャンキーでだらしがない感じ。こういう暮らしぶりの家族、本当にいそうだなと思わされます。衣装や家の中にあるもの、布団の質感など……暮らしぶりが想像できてとてもリアルです。
連れて帰った幼女・ゆりは5歳。
一旦は彼女を自宅に返そうとするお父さんとお母さんでしたが、とある事情から親元に返さないことを決めます。
ここから、ドキュメンタリーのような感じで静かに静かに物語が進んでいきます。要所要所にあれっ? となるシーンがあり……最後に決定的な出来事があり、この家族の抱えていた事情が明らかになります。
家族とは血か? 情か? 幸せとは?
見た人に疑問を投げかけてくる作品です。
家族を演じる役者さんは全員が役にはまっていて、集中して作品を見ることができました。中でも、安藤サクラさんと佐々木みゆちゃんの演技は圧巻です。
もう一度見て、もう一度考えたい。「万引き家族」はそんな作品でした。