年始に本屋さんでふと目に入って購入し、すっかりはまって何度も読み返している小説がこちら。雫井脩介さんの『検察側の罪人』です。
この作品、今年の8月から映画が公開されるそうですね。メインキャストが木村拓哉さんと二宮和也さんだなんて、豪華ですよね。
今回は致命的なネタバレをしないように気をつけて「検察側の罪人」の感想を書きたいと思います。
検察側の罪人ってどんなお話?
ざっくりと一言で言うなら、ベテラン検事と新人検事がそれぞれの正義を胸に対峙するお話です。
以下、わたしがまとめたあらすじです。致命的なネタバレをしないように気を付けていますが、ネタバレに敏感な方は読み飛ばしていただけると幸いです。
ベテラン検事の最上毅は、老夫婦殺人事件の容疑者リストの中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた。時効事件は最上の学生時代に彼の生活圏で起きたものであり、被害者は最上もよく知る人物であった。時効事件から逃げ切った松倉に、最上はある強い気持ちを抱いていく。
最上に憧れていた若手検事・沖野啓一郎は、最上の指示で老夫婦殺人事件の捜査に関わり、後に松倉の取り調べをすることになる。取り調べをすればするほど、松倉の関与に疑問を抱いていく沖野。一方、松倉に執着し続ける最上。ひょんなことから容疑者として弓岡なる男が有力視されると、最上は……。やがて沖野は最上と異なる道で事件の真相を明らかにしようと試みる。
致命的なネタバレを避けるとこんな感じのお話です。
読んでみた感想
刑事や司法が題材の小説がお好きな方はハマるのではないでしょうか。検察官の仕事ぶりがとてもリアルに描かれているなと感じます。
上巻の終わりの方に大きなヤマ場があり、このヤマ場の描き方がものすごくリアル。夕食後に読み始めて、続きが気になってページをめくる手を止めることができず、お風呂の中にも本を持っていって読むほどハマりました。ヤマ場のシーンはまるでその場面を近くで見ているような没入感と臨場感があります。
若手検事・沖野が自身の心証(松倉は犯人じゃない説)と、尊敬する最上の捜査方針(松倉が犯人説)とを天秤にかけて揺れるところは「ああ、仕事をしているとこういう場面あるよなあ……」と共感できました。
下巻に入ると事態がめまぐるしく動いていきます。上巻でのヤマ場がどう展開するのか、ずっとハラハラしてしまいます。
ラストは……納得の結末。ちょっぴり涙がこぼれ落ちました。
4回くらい読んだのですが、定期的に読みたくなる作品です。
この本を読んでから雫井脩介さんの作品をほかにも購入し、読破しました。またいずれ感想を書きたいと思います。